作業環境測定の計算攻略|「24.47」の由来と気中濃度換算公式の導出を徹底解説

労働環境

「25°C、1気圧における気体1 molの体積」と丸暗記している方も多いと思いますが、なぜこの数字になるのか、そしてなぜあの換算式が成り立つのかをスッキリ理解できていますか?

この記事では、気中濃度の換算公式の導出から、気体の状態方程式(理想気体と実在気体の違いまで)をわかりやすく解説します。


気中濃度換算公式の基本

作業環境測定では、空気中の有害物質の濃度を表す際、質量基準の mg/m³ と、体積基準の ppm(百万分率) を相互に換算する必要があります。

その際、以下の公式が使用されます。

C [ppm] = C [mg/m³] × 24.47 / M
  • 24.47:25°C、1気圧における化学物質 1 mol あたりの気体の体積 [L]
  • M:化学物質のモル質量 [g/mol]

なぜこの式になる?公式の導出プロセス

一見複雑に見えるこの式ですが、単位を一つずつ丁寧に紐解いていくと、きれいに導き出すことができます。

ステップ1:質量の単位を「mol」に変換する

測定で得られた物質の質量を W [μg]、吸引した空気の総量を V [L] とします。
このとき、気中濃度は W [μg]/V [L] と表せますが、これは W [mg]/V [m3] (=C [mg/m3])と等しくなります。

分子にある物質の質量 W [mg] を、モル質量 M [g/mol] を使って物質量 [mol] に直してみましょう。
ミリグラム[mg]をグラム[g]に直すと W × 10-3 [g] なので、物質量は次のようになります。

物質量 [mol] = (W × 10-3) / M

ステップ2:molから「体積」に換算する

25°C、1気圧において、物質 1 mol の体積は 24.47 [L](=24.47 × 10-3 [m3/mol])です。これを使って体積に換算します。

体積 [m3] = (W × 10-3 / M) × (24.47 × 10-3)
体積 [m3] = (W × 24.47 / M) × 10-6

これを空気の総量 V [m3] で割ることで、体積比で表した気中濃度が出ます。

体積比の気中濃度 = { (W × 24.47 / M) × 10-6 } / V

ステップ3:ppm(百万分率)にするために106をかける

百分率(%)が比の値に 102(100)を掛けるのに対し、ppm(百万分率)は比の値に 106(百万)を掛けた値です。
さきほどの体積比の式に 106 を掛け算してみましょう。

C [ppm] = [ { (W × 24.47 / M) × 10-6 } / V ] × 106
C [ppm] = (W / V) × (24.47 / M)

ここで、最初のリレーションより W [mg] / V [m3] = C [mg/m3] なので、見事に公式が導き出されました!

C [ppm] = C [mg/m3] × (24.47 / M)

ここで、最初のリレーションより W [mg] / V [m³] = C [mg/m³] なので、見事に公式が導き出されました!

C [ppm] = C [mg/m³] × (24.47 / M)

「24.47 L」を気体の状態方程式から計算する

では、そもそもこの「24.47」という定数はどこから来たのでしょうか?
これは高校化学でも習う「気体の状態方程式」から導出できます。

P · V = n · R · T  ⇒  V = (n · R · T) / P
  • V:体積 [m³]
  • n:物質量 [mol]
  • R:気体定数
  • T:絶対温度 [K]
  • P:圧力 [Pa]

💡 知っておきたい豆知識(SI基本単位の再定義)
2019年に国際単位系(SI)が再定義され、気体定数 R の正確な値は R = 8.31446261815324 [Pa·m³/(mol·K)] と定められました。

実際に計算してみよう

25°C、1気圧における物質 1 mol の体積を求めるため、以下の値を状態方程式の変形式に代入します。

  • n = 1 [mol]
  • R = 8.3144 [Pa·m³/(mol·K)]
  • T = 273.15 + 25 = 298.15 [K]
  • P = 101325 [Pa](1気圧)
V = (1 × 8.3144 × 298.15) / 101325 = 0.024466 [m³]

これをリットル [L] に換算(1000倍)すると、おなじみの数字が現れます。

0.024466 [m³] ≈ 24.47 [L]

さらに深掘り!「理想気体」と「実在気体」の違い

上で計算に用いた状態方程式は、正確には「理想気体の状態方程式」と呼びます。これは「気体分子そのものの大きさ」や「分子同士の相互作用(引き合う力)」を完全に無視した、理想上の数式です。

しかし、実際の空気中にある物質(実在気体)には、分子の大きさもあれば分子間力も働きます。これらを補正したのが「ファンデルワールスの状態方程式(実在気体の状態方程式)」です。

{ P + a · (n / V)² } · (V – n · b) = n · R · T

この式がどのように作られているのか、2つの補正項を見てみましょう。

① 分子間力による圧力の補正

実在する気体は分子同士が引き合うため、容器の壁を押す圧力(実在気体の圧力 P)は、理想気体の圧力 P₀ よりも少し小さくなります。
その減少の度合いは、単位体積あたりの分子数 n/V の2乗に比例します(a は比例定数)。

P = P₀ – a · (n / V)²  ⇒  P₀ = P + a · (n / V)²

② 分子の体積による空間の補正

実在する気体には分子自体の大きさがあるため、分子が自由に動き回れる空間(理想気体の体積 V₀)は、容器全体の体積 V から「分子自身が占める体積」を差し引いたものになります。
1 mol あたりの分子の体積を b とすると、n [mol] の分子が占める体積は n·b となります。

V₀ = V – n · b

まとめ:仕組みがわかれば換算も怖くない!

作業環境測定の現場や試験でよく使う「24.47」や「換算公式」は、このように気体の性質を理論的に突き詰めた結果導き出されたものです。

  • ppmへの換算は、質量をmolに変え、体積比を出して100万を掛けたもの。
  • 24.47は、25°C・1気圧の状態方程式から導かれたもの。

数式の背景にある意味を理解しておくことで、試験でのうっかりミスを防ぐだけでなく、実務でのデータ解釈にも深みが出ます。ぜひ参考にしてください!

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