工場って近所にある?
皆さんの住んでいる家の近くに工場ってありますか?
工場って大きなものだけじゃないですよ。
小さい会社の様な工場も含まれます。
外観が工場じゃないものでも中では製品が作られていて、有害な工場排水が排出されるている所もあります。
例えばこれが下水道への排出であれば終末処理場で適切に処理されます。
ただ自分で処理して近くの川に排水される場合って心配ですよね。
川や湖や海など公共水域排水されるものは法律で規制されています。
この法律は水質汚濁防止法と言います。
この法律は工場や事業場から出る汚水や廃水の排出を規制し、用水路などの公共水域や地下水の水質汚濁を防ぐための法律です
健康被害が出た場合は事業者に賠償責任があります。
規制基準を超えた水を排出した場合は県や市に報告が必要です。
当然罰金なども設けられております
ただ法律で規制されるものっていうのはある程度の排水量がないと適用されません。
チョロチョロ流れてるものってのは適用外なんですよね。
排水量の測り方は通達で以下のように示されています。
水質汚濁防止法の施行について(公布日:昭和46年9月20日 環水管24号)
水質汚濁防止法の中で有害物質を扱っている工場を特定施設と言います。
排水処理はどうして行うの?
排水処理って何で行うと思います。
これはその排水中に体に有害なものが含まれているからです。
当然、生物に有害なものも含まれています。
ただ一般的には人を基準として規制されています。
それらを取り除くのが排水処理です。
また有害物質って何かって思いますよね。
工場で製品を生産していても組み立て作業などではほとんど有害物質は発生しません。
一般家庭と同じような生活環境系の排水のみかもしれませんね。
こちらも有害物質というものは水質汚濁防止法で定義されています。
ただこれを見たってその工場で使われてるかどうかなんて一般の人には分からないですよね。
ある程度の排水量のある工場については公害防止管理者という資格者が所属しています。
この人たちが適切に管理するように決められております。
この国家資格を持った方々が排水を責任をもって処理してくれています。
どうやって処理されてんの?
排水処理って排水される汚染物質によって異なるんですよね。
どんなプロセスを経て処理されるかっていうのは、油分、有機物、懸濁物質、アンモニア、有機金属などそれぞれ処理物質ごとに異なったシステムが必要になります。
それぞれを組み合わせることも必要なんですよね。
例えば処理方式として、酸化処理、還元処理、加熱加水分解、ろ過、凝集加圧浮上、凝集沈殿、アルカリ沈殿、活性汚泥、活性炭、イオン交換、吸着等があります
それぞれの物質の特徴に応じて生物分解、化学反応、物理反応を用いて処理していきます。
例えば凝集沈殿っていうのは、凝集剤を用いて水中の粒子を沈殿させます。これをさらに塊状に仕向けて沈殿させます。
フロックという小さな塊を凝集剤を用いてどんどん大きなフロックにしていくんですね。
凝集剤って以下のものです。
- 硫酸アルミニウム
- ポリ塩化アルミニウム
- 硫酸鉄
- 塩化鉄
溶け込んでるものを大きな塊にして処理するんですね。
活性炭での処理ってどうやってやるんでしょう?
活性炭て炭ですよね。
小さな穴がたくさん開いているんです。
ここに処理したいものを吸着させます。
浄水器と一緒ですね。
インクも活性炭を通すと透明になったりしますよね。活性炭の隙間にインクの粒子が入っていきます。
処理の仕方って処理したい対象物やコストを勘案して決めていきます。
排水が大量に出る場合はなるべくコストをかけたくないですもんね。
最後に
排水処理のベテランがだんだん減ってきてるんですよね。
排水処理の仕事が本業の公害防止管理者は1971年に誕生したんです。
今は2021年ですからもう50年の歴史があるんですね。
20歳だった人ももう70歳くらいになるっていう計算ですよね。
当然その間に処理設備を更新されていますので新たな処理方法も導入されていると思います。
公害防止管理者の最近の受験者数は2.6万人ぐらいですね。
ちょっと前までは3万人超していたけども減ってきてますね。
合格者数は6,000人前後になっています。
私の周りでも公害防止管理者が不足してるようです。
今後、しっかりとノウハウが継承されなかったり、後継者がいないと排水処理もしっかり管理されなくなっちゃうかもしれないですね。
規模が小さいところも含めてしっかりと法の網の目のもとに管理して欲しいですね。
日本の水資源を守るためにも排水処理は重要な仕事だと考えます。
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