化学物質管理者とは?〜資格や講習、業務と責任、心構えなど〜

労働環境

はじめに

令和6年4月より、化学物質管理者を任命する必要が出てきます。

化学物質を使用する事業所に選任する必要があります。
会社などで任命される人もたくさんいると考えます。

この記事では化学物質管理者がどんなものでどんな仕事をしていくかということを説明していきます。

労働安全衛生法が大きな転機を迎えています。

これまで法律で規制されていたものがさらに枠が広がって、自分たちで化学物質について幅広く管理する必要が出てきています。
この一環として化学物質管理者ができた経緯があります。
詳しいことが説明されずに任命される人もいるかと思いますのでぜひ参考にしてください。

自律的管理
化学物質管理者の解説1

どんな事業所に必要

化学物質を扱う事業場には、すべてに必要になります。
ここで化学物質って何か言うと、GHS区分され、SDS(セーフティーデータシート)があるものになってきます。
現在は674物質程度です。
今後これを2900物質程度に増やしていく予定でいます。

GHS区分とは何かと言うと、化学物質の危険性や有害性を分類したものです。
世界的に統一されたルールとなっております。

SDS(セーフティデータシート)って何かって言うとその化学物質の危険性や有害性など示しているものです。
化学物質の説明書と考えてください。
取り扱い方法についても説明されています。

労働安全衛生法で事業者は働いている人の安全と健康を守る必要があると定められています。
そのためSDSは重要な書類のため、化学物質には必ず発行されていると思います。
手元にない場合は購入先などから手に入れてください。
また、近くにある試薬などの瓶に人体の有害性マークみたいのがあれば確認してみてください。

GHSマーク

誰が任命するの

この化学物質管理者って誰が任命するかって事ですが、端的に言うと事業所では、社長になるんじゃないかなと考えます。
任命された人は化学物質に詳しい人が望ましいです。
ただし都合よく企業にそんな人がいないものです。
現在、衛生管理者や作業主任者が居ればその方が適切かもしれません。

化学物質に詳しい人を養成するにしても一朝一夕にいくものではありません。
化学物質管理者は化学物質管理の窓口とでも考えといたほうがいいと思います。
なぜ窓口かって言うと詳しい人に相談する時の会社の中の代表みたいなものです。

化学物質管理者に任命された人は、その事業場内の労働安全衛生について考えていく必要があります。

そこの事業所で化学物質に伴う事故などが起こった場合は、その化学物質の責任者として対応しなければいけません。

そんな時に恥ずかしくないように日頃からの管理をしていくことが必要かと思います。

講習や資格などは必要

事業所によっては、任命する時に講習が必要です。
SDS が発行される試薬、薬品などを製造している事業所が対象になってきます。
大半の事業場が使用するのみということだと思います。
それらの事業所は、講習は必要とされていません。

しかし、化学物質における管理を行うためには、最低限の知識は必要となるため講習などを受けておくことが望ましいと思います。

窓口で相談するにしてもどんな人に相談していいかがまず分からないと思います。
そういったことを解消するためにも講習などを受けておくことが良いかと考えます

労働安全衛生規則第十二条の五第三項第二号イの規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質の管理に関する講習等(令和4年厚生労働省告示第276号)

化学物質の知識は必要か

化学物質の知識はあるにこしたことはありません。
自分達が使う、化学物質について理解しておくことは仕事の上でも十分重要になってくると思います。
また外部の専門家に相談にするにしても自分たちが使っているものがどんなものか説明できないとリスクがどれくらいかを見積もることができません。
講習だけですべて満たせるものではありません。
長年の知識の蓄積や経験によって得られるものであるものです。

実際の業務はどんなことをするか

まずは SDS の管理をすることから始まると思います。
自分たちが使っている化学物質の種類を特定してその化学物質に応じた危険性、有害性などの情報を収集していくことが必要です。

そしてそのSDS がしっかりと管理される仕組みを整えていく必要があります。
1回整えたらそれっきりにはならないようにする必要があるということです。

危険性や有害性情報も日々変化しています。
その後危険性有害性に応じてその化学物質のリスクを見積もる必要があります。

リスクって何かって言うと事故や病気などが起こる確率です。
たまにしか使わなかったり使う量は少ないとリスクは低くなってきます。
ただし少なくてもその物質の有害性が高ければリスクは大きくなると思います。

この様なことを総合して判断することが必要となってきます。
それには調査や測定が必要になることもあります。
その辺は外部の専門家と相談するしかないと思います。

そういった時の窓口としての仕事が必要になってくると思います。
また労働者への周知や教育、ばく露防止措置の選択や実施なども必要になってきます。
そしてリスクアセスメント対象物による労働災害が発生した場合の対応など、業務は多岐に渡ると思います。

事故が起きた場合はどうなるか

例えば事業所において化学物質における労災がおきた場合はどうなるかということを考えてきます。
ある規模以上の事業場(50人以上)においては衛生委員会というものが設定されてると思います。

今後は衛生管理者や化学物質管理者がどのような仕事を行ってきたかということが重要になってきます。

全く何も行ってない場合は労働安全衛生法違反になってくると思います。
そういった場合は新聞に載ってきたりして処罰の対象となってくると思います。

化学物質管理者が直接の対象となるかどうかはまた別だと思います。
その人がどの程度その仕事に責任を持って取り組まなきゃいけないかということが重要になってくると思います。
当然片手間でやる人もいるだろうし専属で任されている人もいると思います。

また、重大な労働災害が起きて、何も安全対策を行っていなければ業務上過失致死になっちゃうかもしれません。

事業規模に応じて0よりは1と少しでも多くのことができるようにしておいた方がいいと思います。

やっぱり0と1の差は大きいと思います。

100%やろうとすると結構な労力が必要となってきますが80%ぐらいはできるんではないかと考えます。
雇用する側には働く人の安全配慮義務というものがあります。
これは何もやってなければ刑事だけではなく民事でも訴えられる可能性があります。

まとめ

令和6年4月より化学物質管理者を任命しなければなりません。
これからこの仕事を担う人が必ず出てきます。

任命されたからには働く人の安全衛生について真剣に取り組み自分でできることをやっていく必要があると思います。

当然全てのことができるわけではないので外部の専門家などを利用しながら、今出来る事を少しでも進めていくことが必要だと思います。
何もやらなければ0ですが、少しでもやれば1になり、2になり、3になると思います。

その小さな行動が将来の一緒に働く仲間の安全、健康を守っていくと考えます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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