化学物質のリスクアセスメントって~自律的管理の中心的役割を担う~

労働環境

はじめに

平成28年6月から労働安全衛生法が改正されて、化学物質のリスクアセスメントが必要になりました。
もうすでに施行から5年が経ちました。

同時期に公布されたストレスチェックは定着してきてますよね。

リスクの管理って檻に入ったライオンの管理と似ているような気がします。
ライオン=リスク、管理=檻として考えてみてください。

ライオンて危険な動物ですよね。
でも檻に入っていれば安全ですよね。
でもその檻が貧弱だったらどう思います。
また逆にライオンが弱ってたらどうします。

リスクの管理ってそんな感じですよね。

改めてリスクアセスメントについて振り返ってみたいと思います

化学物質って

化学物質って何って所から始めたいと思います。

世界にはCAS(キャスレジストリー)というものがあって現在は2.5億物質ほどが登録されております。
ただこれは化学物質の全体であって管理すべき物質ではありません。
日本で使われている化学物質としては10万種類ぐらいあるということです。
しかし管理するにはこれでも多すぎます。

化学物質を供給している事業者が日本にもいます。
日本には化審法化管法というものがあります。
化学物質についてはこの2つの法律で管理しています。

供給している事業者は一定以上の含有量はあるものについて購入者に情報を提供しなければいけないという義務があります。
この時の情報伝達手段がSDS です。
昔は MSDS と言われていました。
現在は安全データシートですね。

これが公布されている物質が化学物質のリスクアセスメントの対象となります。

当初は640物質でした。
現在は700物質弱ぐらいになっているんじゃないかと考えます。

これが化学物質の範囲ですね。

例えばこのトルエンを使った時に労働者がどれくらいの確率で病気になったりするかを算定しなきゃならないです。

なんで雇用者側がそんな事をしなきゃならないんですかね。

これも法律で定められていて労働契約法の5条に以下のように書かれています。

使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ、労働することができるよう必要な配慮するものとする

化学物質の範囲はSDSが交付されている物質

リスクアセスメントって

続きましてリスクアセスメントについて考えていきます。

リスクアセスメントって言葉はよく聞くと思います。
リスクって危険性ですよね。
アセスメントって評価ですよね。
環境影響評価を環境アセスメントって行ったりしますよね。

先ほどの範囲の化学物質についてこれをやるだけです。

誰がやるかっていうことが問題なんですけども事業者がやります。

危険や有害性のある化学物質について事業者がその物質による労働者のリスクをはかること

安全配慮義務って

安全配慮義務って何でしょう。

これは従業員が安心して働くために必要な雇用者側、企業側の義務となっております。
だから個人事業主は対象外です。
さらに従業員が対象ですので、役員とか会社側の人間は対象外になってしまうんですかね。

これは労働契約法で定められています。

最近始まったものではなくて、怪我や事故といった物理的な危険が伴う仕事は昔から配慮されております。
建設業でよく行われているKY活動などもこれによるものですね。 

最近は労働環境に合わせて過労死や精神的な不調、事務作業に適した環境を提供することも含まれてきています。

ストレスチェックや事務所則の測定増えてきてますもんね。
二酸化炭素の濃度にまで気を配られるようになっています。

良好な環境を提供するという意味では、工場などで行われている作業環境測定もこれに含まれてきます。

企業側は労働者を多方面において守りつつ、仕事をしていかなければいけないということです。

日本では従業員は、法律体系のもと強く守られているという感じですね。

雇う側は親のように面倒を見てやること

現状

化学物質のリスクアセスメントの実施状況を事業場の規模で見ると大手事業所の実施割合は高く事業場の規模が小さくなるほど実施割合は低くなっています。

この理由は以下によるものと思われます。

  • 中小の事業所では安全衛生活動を行う余力が少ない
  • 化学物質のリスクアセスメントの実施には専門的な知識や情報など必要となるがこれらを十分に持ち合わせている人材が事業場に少ない又はいない。
  • 各事業所ごとに異なる作業環境を考慮して行わなければいけない。つまり専門的でカスタマイズされた管理が必要になる。

厚生労働省の資料を基に以下で詳しく解説していますので参考にしてください。

最後に

化学物質のリスクアセスメントってちょっと面倒くさいんですよね。
実施するタイミングってのがまた面倒くさくて、新しい物質を採用した時又は変更した時だそうです。

定性的な簡単にできる方法もあるんですけれども、リスクが過大になりがちです。
しっかりやろうとすると定量的な方法で測るっていうのが良いです。
これは専門家に頼まないと難しいですよね。

でもメリットってたくさんあるんですよね。
その化学物質の理解を深めることで安全な作業方法ができるようになって、リスクが減ります。
実際は作業を行っている方がやるのが一番いいですよね。

労働者を守るためにも化学物質のリスクアセスメントはしっかり実施したほうがいいと思います。


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