はじめに
騒音や振動測定をしてデータをもらったとしてもデータがどういったことを意味しているか分からないですよね。
今は騒音や振動などの測定器が進歩して多くのデータが取れるようになっております。
データが多いということはその場の状況をつかみやすく改善策の立案にも役立ちます。
少しでもわかりやすくデータの見方を解説したいと考えます。
どんな種類の騒音や振動か?
騒音や振動といっても発生源やその悩みの種類によって種類が異なってきます。
その種類によってデータが見方は変わってきます。
概ね分類すると以下のものになるかと思います。
データの種類
例えば報告書に以下のようなデータが出てきたとします。
でもこのデータどうやって見たらいいかわからないですよね。
等価騒音レベル(LAeq)
環境基準値と比較する時に用います。
住宅の側などで測定することが多いですよね。
この数値は下記のように算出されています。
等価騒音レベル (Leq) は、equivalent continuous sound levelの訳であり、ある時間内で変動する騒音レベルのエ ネルギーを同時間内の定常騒音のエネルギに置きかえることです。時間 ti~t2の間に、騒音レベルがある一定範囲で変動している場合、 この騒音のエネルギを定常騒音のエネルギーに置き換えることです。
ちょっと、この解説だけだと何言ってるかわからないですよね。
下記の記事で詳しく解説しています。そちらも参考にしてください。
水で例えると波がある状態から波の状態へならすことです。
コップや容器の中の水の上下運動とみなしてもいいかもしれません。
短い時間で大きな音がしても等価騒音レベルは上がりにくいですね。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
時間率騒音レベル、 時間率振動レベルとは?(L5、L10、L50、L90、L95など)
時間率騒音レベルは L5や L50と言われます。
昔はこの数値が等価騒音レベルの代わりに使われておりました。
現在でも騒音規制法振動規制法ではこちらの値が使われます。
わが国の騒音規制法および振動規制法に使われている評価量で騒音や振動の大きさが不規則かつ大幅に変動するときにこの評価量は適用されます。
この数値は下記のように求められます。
ある実測時間内の変動騒音に着目したとき、 ある騒音レベルを超えている時間の合計が実測時間のN%に 相当するとき、その騒音レベルをN%時間率騒音レベルと言います。 たとえば実測時間が10分の場合55dBを超える時間の合計が5分であったならば55dBを50%時間率騒音レベル (中央値) と言います。
もし55dBを超える時間の合計が30秒であったならば55dBはL5 (5%時間率騒音レベル) となります。
時間率振動レベルについても同様です。
振動を低い方から高い方まで並べ替えてそれの何パーセントの範囲にあるかということを示すものです。
エネルギーとは違って得られた値を順番に並べ替えるので騒音の苦情を等価騒音レベルより適格に表すこともあります。
また L95などはその場における残留騒音レベルとしてデータを見ることができます。
L5とL95の差が大きいほど音の変動が大きいということですね。
周波数分析とは?
周波数と音の成分のことです。
音色とも言えます。
音、振動は一般に多くの周波数が合成された複雑な波形をしています。
音や振動の性質を調べるためこの複雑な波形を周波数成 分ごとに分けることを周波数分析と呼び、一般的にはオクターブバンド分析、1/3オクターブバンド分析、 FFT分析などの手法がよ く使われます。
オクターブバンド分析、 1/3オクターブバンド分析とは?
音の高さの感覚は、 音の周波数に依存します。 二つの音の高さの感覚の違いは、 音の周波数の差ではなく、音の周波数の比に対応 します。
周波数分析に用いられるバンドパスフィルタセットには、定比型 (フィルタの上限周波数と下限周波数の比が一定) と定幅型 (上限周波数と下限周波数の差が一定)の二種類がありますが(P.62参照)、 騒音の評価を目的とした分析には、 人間の感覚に対応 させやすい定比型フィルタを使うのが一般的です。
周波数の比が2となる関係をオクターブといい、バンドパスフィルタの上限周波 数が下限周波数の2倍であるフィルタをオクターブバンドパスフィルタと呼びます。 オクターブバンド分析のフィルタの中心周波数 は、31.5、63、125、250、500,1000,2000・・・ Hzと、隣り合うフィルタの2倍の関係になります。 詳細な分析が必要なときに は、 1/3オクターブ分析が使われます。 1/3オクターブ分析のフィルタの中心周波数は、 31.5、40、50、63、80、100, 125・・・ Hzと、隣り合うフィルタの約1.25倍 (1/3オクターブ間隔)の関係になります。
G特性とは、 どういうものなのでしょうか?
G特性とは低周波の測定に用います。
1Hzから20Hzの超低周波音による心理的・生理的影響の評価特性として、 1995年3月にISO 7196でG特性が規格化されました。
G特性は、10Hzを基準とした人の超低周波音に対する感覚閾値をもとに決められています。
これは、 騒音計に用いられているA特性が、 1kHzを基準とした人の可聴音に対する聴感特性に基づいて決められているのと同じ考えです。
FFT (Fast Fourier Transform) 分析とは?
こちらは詳細な周波数分析になります。
この手法は時間的に一見不規則に見える複合された信号を高速フーリエ変換 (Fast Fourier Transform) することにより、信号のある規則性を見出すことで、 信号に含まれている周波数スペクトル分析を行います。
特に音声の分析や自動車・ 家電の品質評価、異音検出など音響・振動の信号解析に幅広く利用されています。 フーリエ変換はフランスの数学者フーリエ (Fourier : 1768~1830) の人名に 由来しており、 その考えは “任意の周期関数は三角関数の和として表せる”というこ とです。
この考えを取り入れ1965年にはCooleyとTukeyによって演算方式が確立され、 全世界に広がり、その数年後にはFFTプログラムが利用できるようになりました。
最後に
データの見方について解説しました。
データの見方からその時の状況がよく分かり対策が立てられると思います。
是非お役に立ててください。
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