はじめに
自分の住んでいる地域のそばにお店(商業施設)ができることってありますね。
ここではコンビニなどの小さなお店ではなく、スーパーやショッピングモールを対象とします。
良い面と悪い面が当然あります。
その商業施設を利用する場合は利便性が増しますが、生活環境は悪化するかもしれません。
利用しない場合は生活環境のみ悪化しますね。
これらについて今回は考えて行きたいです。
法律での規制
まず、行政関係の法律面では大規模小売店舗立地法という法律が適用される場合があります。
但しすべてのお店が対象になるわけではありません。
主に大きな商業施設になります。
後述しますが、具体的には店舗面積と言う、「売り場の面積」が判断基準になります。
但し、原則として販売を行う日数が年間60日以内であれば「小売業を行う店舗」には該当しないとされています。
まずはこの法律ができた経緯とそれ以前にあった大店法について解説します。
経緯
大店立地法
正式名称は「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」です。
小売業の正常な発達を図るため、大規模小売店舗とその周辺の中小小売業との利害を調整することを目的とする法律でした。
昭和49年(1974)から平成12年(2000)まで運用され、大規模小売店舗立地法施行にともない廃止されました。略称は大店法と言います。
この法律の趣旨は以下の通りです。
大規模小売店舗立地法
この法律の所管は経済産業省です。
法律の趣旨は以下に示す通りとなっております。
生活環境って?
生活環境って何だと思いますよね。
皆さんが住んでる環境のことですが、その中にどのような項目が含まれるかというと大規模小売店舗立地法で配慮するのは以下の項目になります。
ポイントは通常存在すると期待される環境が保持されることです。
ただしこの中には商業施設ができることによる周辺住民の利便性向上によるトレードオフ関係もあります。
当然、交通渋滞は生じますがそのぶん利便性が向上していれば我慢する必要性が出てきます。
周辺住民にとっては受ける享受とのバランスになりますね。
もちろん事業者にはその不快な状況を低減、改善させる努力も必要になってきます。
交通渋滞
ここで交通渋滞ってどうやって検討をするか行ってきます。
まずは周辺道路の交通量調査を行いますね。
周辺の交差点をいくつか選んで方向別の台数を算出します。
これは通常の交通量調査等があって交差点においてどの車がどちらの方向に行ったかとかいうことを計測していきます。
なぜこんなことをするかって言うと交差点の混雑度を表す需要度というものを算出します。
需要度は以前は飽和度と言われておりました。
例えばこの交差点がどのくらいの交通量で渋滞が起きるのかということを判断する時に使います。
時間帯によっても異なるため営業時間に応じて調査して需要度を算出します。
混雑する時間帯において主に算出します。
交差点で右折専用レーンとかありますよね。
方向別の専用レーンがあれば捌ける交通量は増えます。
また登りの勾配だったり道幅が狭かったりするとさばける交通量は少なくなります。
さらに大型車が多いと発進損失というものが生じます。
当然交差点における信号のサイクルも影響してきます。
このようなことを調査して交通渋滞を予測します。
開店前後の需要度を比較します。
当然開店後の重要度が大きくなるわけですがこれが許容範囲かどうかは判断します。
交通安全
続いて交通安全です。
交通安全とは、周辺に小学校などがあって通学路が存在するか?
バス路線にあるか?
歩道があってその広さがどの程度あであるかっていうことがあると思います。
またそのお店に侵入する場合、道路を横切きる場合は、安全性、渋滞を考慮して右折禁止にするのか、左折のみで侵入させるのかということも含まれるかなと考えます。
また周辺道路の関係についての考慮しなければいけないこともあります。
来店するお客さんが歩行者が多いのか、自動車で来るのか、2輪車、自転車を使うのかということも必要になってきます。
騒音
続きまして騒音に関してです。
騒音に関しては環境基本法の環境基準と騒音規制法による規制基準というものがあります。
環境基準は住宅周辺、規制基準は敷地境界付近を対象とします。
これらの基準を遵守出来るかの検討必要になってきます。
商業施設は設備から発生する騒音や来店するお客様の自動車騒音があります。
また荷捌き音や廃棄物処理作業といった変動する騒音もあります。
これらが基準を遵守出来るように位置、時間、設備などを検討する必要があります。
どの規模のお店から対象になる?
店舗面積
店舗面積が1,000m2を超えるものが対象となります。
ちなみにコンビニは 200m2以下 になります。
全国で最大の店舗面積は以下のものになります。
埼玉県越谷市東町2-8
178,061m2
イオンモールは大きいですね。
店舗面積は売り場の床面積です。
具体的には以下のものが含まれます。
事業用部分
運用の主体による違い
この法律の運用の主体は都道府県に委任されています。
そのため細部において各自治体によって運用が異なります。
概要書等届出書の提出先は部数及び重きを置く部分が異なってきます。
店舗の実地検査を行う都道府県もあります。
8ヶ月の制限
お店の大まかな内容は決まったら届出書という書類を提出いたします。
届出をした時点から8か月はお店をオープンすることができません。
これは8ヶ月制限といいます。
自治体の事務手続きが早く終わり8か月以内でもオープンできることもあります。
ただし8ヶ月は拘束機関として余裕を見ておいた方がいいかもしれません。
この8ヶ月の期間に変更などあれば届出書を提出し直しとなるため事前に計画はよく練っておいた方が良いと考えます。
また、自治体によっては概要書というものを提出することもあります。
これは届出書の前に提出するもので、届出書とほぼ同じ内容を提出します。
届出を行うと一般市民及び事業者の方が閲覧できる縦覧という期間に入るのですが、その前に運用主体である自治体が確認して、不備がない形にしておこうという段取りになります。
こちらについても、関係部署に書類を回す確認手続きがあり2ヶ月程度を要する場合があります。
このように手続きを行なっていくと1年弱ぐらいはかかるとみられます。
届出後に住民説明会
都道府県などに届出を行うと県報などに公告されます。
また、届出後、2ヶ月以内に住民説明会を行います。
これは建設予定地の周辺住民に対して行います。
この時の範囲はその規模によっても変わってくると思います。今日瀬谷区灘の自治区と相談して決めていくといいと思います。
住民説明会の開催周知などは新聞折り込み広告などを利用することが考えられます。広報や回覧板を利用するのなどの方法もあります。実情に応じて選択すると良いと考えます
住民説明会とは?
周辺住民に対して行われる住民説明会とはどんなものでしょう。
基本的には届出事項を説明する形になります。
また建築予定の建物などについてパースや映像資料などを用いて説明することもあります。
質疑応答の時間も設けられております。
ただし説明会参加には名前と住所を記す必要があります。質問時も名前を名乗り説明会報告書に記載されます。
これは説明会について行政に報告する義務があるからです。
結審
これらの手続きをし問題ないと判断されると届出書が結審されます。
結審とは審理を終了することを表します。
これまで大規模小売店舗立地法に関して店舗の情報など提供し、計画の変更など求められてきた場合もあると思います。
これらの審査が終わったことを表します。
これによりお店のオープンが出来ることになります。
最後に
住んでいる周辺にお店ができるって嬉しいよな、生活環境に影響が出るようで不安な気持ちも抱くと思います。
お店のオープンした後も生活環境に支障が出るようでしたら、事業者と相談して改善を求めることができると思います。
交通安全や交通渋滞に対しては警察、騒音や悪臭に関しては市町村などを頼るといいと思います。
先にも述べましたが、商業施設に対する利便性を考慮しながら、生活環境の影響については検討していかなければならないです。
事業者と周辺住民が合意形成できるように対応していくことが必要かなって考えます。
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