用途
今日はメチル水銀について毒性を見ていきたいと思います。
今回確認したSDS(安全データシート)はジメチル水銀のものです。
ジメチル水銀は別名でジメチル水銀(Ⅱ)、メチル水銀、水銀、ジメチルと呼ばれるらしいです。
総称して有機水銀となりますね。
水質汚濁法の排水基準ではアルキル水銀になると思います。
水俣病の原因物質ですね。
主には工業製品の触媒として利用されておりました。
無機水銀を排出することによる副生物として生成することがあります。
自然界では火山の噴火などによって発生することもあるそうです。
特性
化学式は以下の通りです。
C2H6Hg
C2H6の部分がメチル水銀は、CH3と他の物質になります。
分子量は230.66です。
メチル水銀はCH3HgClの場合251.08です。
Clの部分は他の物質がつくこともあります。
融点が-43℃なので常温では液体になりますね。
沸点は93℃から94℃です。
加熱すると気体になりますね。
ライターなどであぶってしまうと気体蒸気となって吸い込む可能性があります。
引火点が5℃となっております。
水銀に火を近づけると燃えます。
蒸気密度は1.5ですね。
空気より重いということです。
これは20℃の時の値です。
燃焼された時は駄目ですよ。
比重は2.961となっております。
水にはほとんど溶けないということです。
例えば水を排出したとしても水中にはほとんど検出されないということですね。
土壌・底質には検出されるということです。
エタノールジエチルエーテルには溶けると書いております。
脂肪には溶けやすいということです。
生物濃縮性があるということです。
毒性
水銀は労働安全衛生法特定化学物質第2類に分類されてますね。
作業環境測定基準の適応もあります。
管理濃度は0.01mg/m3(Hg)です。
(Hg)は水銀のみでとしての比較になりますね。
許容濃度は日本産業衛生学会が定めているものですがこちらは定められておりません。
急性毒性 としてのデータはあまりありません。
発がん性はGHS分類の区分2になります。
発がん性って言うのは以下の様に定義されています。発がんの強さではないです。
あくまでも“発がん性の証拠の確からしさ”、ヒトへの発がん性の証拠があるのか、動物実験によっているのかなどで区分しています。
区分2は人に対する発がん性が疑われるです。
確実に区分1に分類するには不十分な場合ではあるが、人または動物での調査より得られた証拠をもとに行う。証拠の強さとそ の他の事項も考慮した上で、人での調査で発がん性の限られた証拠やまたは動物試 験で発がん性の限ら れた証拠が証拠とされる場合もある。
区分1よりは発がん性の証拠は確実ではありませんが発がんの可能性が疑われるレベルです。
IARC(国際がん研究機関)においても2B(人に発がん性の可能性がある)と言われています。
私は証拠としては確実ではありませんが可能性が高いということですね。
生殖毒性については地域分類は区分1 A となっております。
体内でメチル水銀になり授乳などにより胎児に影響を与えるということです。
水俣病問題の胎児性水俣病というところで影響は見られています。
妊婦がばく露されると神経症状が見られて感覚障害から運動失調、視野狭窄進んでいきます。
発がん性があり神経系の毒性が強いということです。
最後に
有機水銀でメチル水銀の毒性について調べてみました。
無機水銀が体内に入るとメチル水銀に変換されて神経系に影響を与えるということです。
生物濃縮などにより食物連鎖人間が摂取する機会が多くなってきます。
体内で分解もされないため排出を待つのみです。
胎児への影響もあり、妊婦の摂取は控えたいですね。
環境影響として水生環境への影響はあまりデータが無いようです。
わからないものは安全ではないんですよね。
まずはこれ以上水銀を環境中へ排出しないようにしたいものです。
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