フッ素の性質は?
フッ素ガスの発生に対の説明です。
フッ素は、原子番号9の元素で、ハロゲンの一種です。
電気陰性度は4.0で全元素中でもっとも大きく、化合物中では常に−1の酸化数を取ります。
フッ素の単体は酸化力が強く、ほとんどすべての元素と反応します。
そのため、天然には単体では存在せず、蛍石や氷晶石などのフッ化物として存在します。
フッ素ガスの危険性・有害性は?
フッ素の単体は通常、二原子分子のF2として存在します。
常温常圧では淡黄色・窒息性刺激臭の気体で、非常に強い酸化作用があり、猛毒です。
吸入すると、肺水腫、呼吸器、肝臓、腎臓の障害などを引き起こす可能性があります。
皮膚や眼にも刺激性や腐食性があり、接触すると皮膚の赤み(発赤-ほっせき)、痛み、熱傷などを起こす可能性があります。
火災や爆発の危険性も高く、水や可燃物と激しく反応します。
フッ素ガスの致死量は32〜64mg/kg、見込み中毒量は5mg/kgとされています。
発生させる方法
例えば、フッ素ガスは、フッ化カルシウム(CaF2)に濃硫酸(H2SO4)を加えて加熱すると発生します。
フッ化カルシウムは、化学式はCaF2とカルシウムおよびフッ素の元素の無機化合物です。
白色の不溶性(水に溶けにくい)の固体です。
使用用途や自然界での存在状態は?
こちらの図の様に、使用用途によりペレット状や粉末のものがあります。
自然界では、蛍石(ほたるいし)(フルオラパーとも呼ばれる)として存在しています。
不純物のために着色されることが多いです。
こちらの図の様なものになります。
ガラス繊維、セラミック、溶接棒、ガラス産業、ならびにフッ酸製造など複数の用途で使用されます。
鉄冶金(てつやきん)、金属の精製ですね。
この時のフラックス、添加剤として使用されます。
また、無電解ニッケルメッキの添加剤としても使用されます。
この作業場でフッ化水素が発生していることもあります。
歯科治療での使用用途は2種類
また参考としてフッ素化合物は歯科治療などでも利用されます。
虫歯予防として、歯の再石化作用や抗菌作用・抗酸化作用等で利用される
フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ(F2Sn)、モノフルオロリン酸ナトリウム(Na2FPO3)
こちらの図にもあるように、歯磨き粉にも含まれてきます。
フッ化ナトリウムは飲み込むと有毒であり、腹痛、灼熱感、痙攣、嗜眠、咳、下痢、咽頭痛、嘔吐、意識喪失などの症状を引き起こす可能性があります。
ラットの実験では、体重1キロあたり100mgのフッ化ナトリウムを食べると、半分のラットが死ぬというデータが得られています。
ただ、歯磨き粉などに含まれる程度の少量であれば問題はありません。
また、歯科技工でも使用されています。
歯科の被せものや詰め物を作成する段階(歯科技工)で使用するフッ化水素です。
こちらは猛毒です。
水溶液はフッ化水素酸と呼ばれ、毒物及び劇物取締法の毒物に指定されています
フッ化水素の致死量は32〜64mg/kg、見込み中毒量は5mg/kgとされています。
9%溶液をスプーン1杯誤飲しただけで死亡した事例もあります。
気体を吸っても、液体に触れても危険な物質です。
また、1982年に八王子市で発生した歯科医師フッ化水素酸誤塗布事故は、虫歯予防のためにフッ化ナトリウムを塗布するはずが、毒物であるフッ化水素酸を誤って塗布したことで、3歳の女児が死亡した悲惨な事件です。
この様に、フッ化ナトリウムとフッ化水素を取り違えることは非常に危険であることが分かります。
このような事故が二度と起こらないように注意する必要があります。
労災事例は?
労災事例としては、トイレの清掃作業中に発生した。
便器、床等の水垢洗浄のため、洗浄剤(フッ化水素含有)を使用して作業者3名で作業をしていたところ、咳、発熱、関節痛、倦怠感など体調不良を訴えフッ化水素中毒と診断された事例があります。
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