亜硝酸塩って
今回は亜硝酸塩の毒性について考えていきたいと思います。
亜硝酸塩と亜硝酸イオンNO2-を持つ塩です。
代表的なものに硝酸ナトリウム亜硝酸カリウムなどがあります。
亜硝酸塩は添加剤として使用されています。
ハムやソーセージなどの保存食のボツリヌス症の予防のため菌の芽胞の発芽を防ぐ目的で添加されています。
日本では、食品衛生法に基づき、食品添加物としてチーズ、清酒、食肉製品、鯨肉ベーコンに使用が認められています。
使用出来る量は以下の通りです。
チーズに関しては硝酸カリウムを0.2g/L(原料に供する乳1Lにつき)
お酒に関しては硝酸ナトリウムを0.10g/L(酒母1Lにつき)
食肉製品クジラ肉ベーコン、つまり加工肉ですねこちらに関しては硝酸ナトリウムを亜硝酸根としての最大残存量0.070g/kg
亜硝酸根とは亜硝酸ナトリウムになります。
すべて最大限度値として定めています。
使用用途は発酵調製剤・発色剤としています。
毒性の情報
硝酸塩は、通常摂取する程度では、それ自体は特に人体に有害なものではありません。
この通常摂取する量とは、例えばに肉類は男性98.9g/日、女性72.3g/日と言われています。
硝酸塩はヒトの体内で還元され亜硝酸塩に変化すると、 メトヘモグロビン血症や発ガン性物質であるニトロソ化合物の生成に関与するおそれがあるということが一部で指摘されています。
しかし、生体内における硝酸塩から亜硝酸塩への転換のメカニズムは複雑です。食物に含まれる硝酸塩が転換されるばかりでなく、生体内の他の窒素含有化合物(アンモニア、ヒドロキシアミンなど)が酸化されて硝酸、亜硝酸塩が生成されることなどから、食物由来の硝酸塩のうちどのくらいの量が亜硝酸塩に転換するのかは、はっきりとしていません。
また、硝酸塩の摂取と発がんについての研究も各国で実施されているところですが、 FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA)は、硝酸塩の摂取と発がんリスクとの間に関連があるという証拠にはならないと言っています。
亜硝酸ナトリウムの毒性
亜硝酸ナトリウムについては以下の通りです。
GHS分類
健康に対する有害性
急性毒性(経口)
区分3
眼に対する重篤な損傷/眼刺激性
区分2A
生殖細胞変異原性
区分2
生殖毒性
区分2
追加区分:授乳に対するまたは授乳
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
区分1(血液)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
区分2(血液)
環境に対する有害性
水生環境有害性 (急性)
区分1
水生環境有害性 (長期間)
区分1
有害性情報
急性毒性
経口
ラットのLD50値は4件のデータがあるそうです。
77 mg/kg
130 mg/kg
150 mg/kg
85 mg/kg
吸入
粉じん及びミスト
粉塵の4時間ばく露によるラットのLC0は0.0951 mg/L
ラットのLC50値 0.0055mg/L/4H (5.5mg/m3/4H)
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギ6匹の結膜嚢に本物質100 mgを適用した試験
中等度の発赤、軽度の浮腫、多量の排出物として結膜への影響が全例に見られた
生殖細胞変異原性
体細胞in vivo変異原性試験
ラットおよびマウスに経口投与による骨髄を用いた複数の染色体異常試験
マウスに経口投与後の末梢血を用いた小核試験およびハムスターに経口投与後の胎児性細胞を用いた小核試験で、いずれも陽性の結果なお、
エームス試験の結果、および哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験の結果はいずれも陽性
発がん性
ラットおよびマウスに2年間飲水投与による発がん性試験において、雌雄ラットおよび雄マウスでは発がん性の証拠は見出されず、雌マウスで発がん性の不明確な証拠として前胃扁平上皮細胞の乳頭腫または癌腫の発生率の増加傾向が認められた(NTP TR 495 (2001))。以上の試験結果から、総合的判断として亜硝酸塩の摂取により明らかな発がん性は認められなかったと結論されている。
しかし、IARCによる発がん性評価では、生体内でニトロソ化される条件下で硝酸塩または亜硝酸塩はグループ2Aに分類され(IARC 94 (2010))、また、胃の酸性条件下で亜硝酸塩から発生するニトロソ化剤は、ニトロソ化可能化合物、特にアミンやアミドと容易に反応し、発がん性物質であるNニトロソ化合物を生ずるとの記載(IARC 94 (2010))がる。GHS分類:分類できない
生殖毒性
妊娠マウスの器官形成期に経口投与した発生毒性試験において、母動物が体重増加抑制を示した用量で、着床率および平均同腹仔数の有意な減少、死亡仔および早期死亡の有意な増加が認められ(SIDS (2005))、また、ラットの妊娠期間から授乳期まで経口投与した試験で仔の死亡率の増加と出生時の平均同腹仔数の減少が報告されている(SIDS (2005))ことから、GHS区分2に該当する。
また、ラットの妊娠期間から授乳期まで経口投与した試験において、投与母動物の仔が明らかな貧血となり、赤血球数、ヘモグロビン濃度の有意な低下に加え、肝臓の鉄含有量が有意な減少を示し、さらに投与母動物の乳汁では鉄含有量が対照動物より低く、延いては仔に副作用(貧血)を招いたとの記述(SIDS (2005))により、「GHS追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響」にも該当する。GHS分類:区分2、追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
本物質の摂取またはばく露により血中のメトヘモグロビン形成を生じ、一部にはチアノーゼが見られ、メトヘモグロビン血症を発現した多数の症例報告(SIDS (2005)、JECFA 844 (1998)、PIM G016 (1999))があり、GHS区分1(血液)に相当する。なお、動物試験においても、ラットに150 mg.kg、また、マウスには100~300 mg/kgの経口投与により、血中のメトヘモグロビン濃度の増加が報告されている(SIDS (2005))。GHS分類:区分1(血液)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ラットの14週間反復経口(飲水)投与試験(雄:30, 55, 115, 200, 310 mg/kg bw/day、雌:40, 80, 130, 225, 345 mg/kg bw/day)において、雄の200または310 mg/kg/day群、および雌の130 mg/kg/day以上の群でチアノーゼが観察され、網赤血球数の増加に加え、区分2相当用量を含むほとんど全群でメトヘモグロビン濃度が上昇した(NTP TR 495 (2001))との報告に基づき、GHS区分2(血液)に相当する。なお、マウスの14週間反復経口(飲水)投与試験(雄:90, 190, 345, 750, 990 mg/kg bw/day、雌:120, 240, 445, 840, 1230 mg/kg bw/day)では、関連する所見として、雄の750または990 mg/kg/day群、および雌の445 mg/kg/day以上の群で脾臓の髄外造血が観察されている(NTP TR 495 (2001))。GHS分類:区分2(血液)
吸引性呼吸器有害性 データなし。GHS分類:分類できない
最後に
見た目のために使用されることが多い物質です。
有害性の情報も十分では内容な気がしますね。
消費者が発色の良いものを選択することを考えると、この情報だと使用しない選択をしづらいですね。
なるべく亜硝酸塩が含まれていないものを選択するとか、食べ過ぎないことが必要ですね。
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