化学物質の個人ばく露測定のガイドラインの解説

労働環境

はじめに

個人ばく露濃度測定が今後活発になっていくかもしれません。
一度現在のガイドラインについて見直してと考えました。

今回は「平成27年1月 日本産業衛生学会 産業衛生技術部会 個人ばく露測定に関する委員会」が出している化学物質の個人ばく露測定のガイドラインを要約して解説してみます。

原文はこちらになります。
日本産業衛生学会-化学物質の個人ばく露測定のガイドライン 平成27年1月

要約版も出ました。
簡潔にまとめられていますので参考にして下さい。
http://jsoh-ohe.umin.jp/files/kojinbakuro/guideline_231024.pdf

現在、話題の化学物質の自律的管理に繋がる内容も盛り沢山で改めて理解が深まりました。
今から7年も前に自律的管理の道筋がみていましたね。
単に時が経つのが早いだけかもしれませんね。

この記事で得られること

個人ばく露測定について理解が深まる

測定だけでは不十分であると理解する

同じ内容を以下で説明しています。

最近個人ばく露測定者の要件(中間取りまとめ)も出ましたので参考にして下さい。

ガイドラインの内容

はじめに

標準法、基本手順ではなく、教科書のように扱わず、基本的な考え方を参照するためのガイドラインとする。
一般的なリスクアセスメント・マネジメントの一手段として使うことを念頭に置いたものである。
方法の詳細を必要以上に規定しないで、測定を行う者の判断・裁量の余地を残す。
実例、統計的な根拠等を補足資料まとめてある。

要旨

要旨の部分だけ読んでも大まかにわかります。

対象は全ての化学物質と全ての作業場
法制度上の規定や方法に関わるものではない
個人ばく露測定を狭い意味の測定ではなく「ばく露の評価と管理」を進める総合的なプロセスとして認識
9つのステップと3つの段階(事前調査→測定→リスク低減措置)

事前調査

作業場の全般状況の把握
評価対象とする化学物質作業者の選定
ばく露の推定
同等ばく露グループの設定

測定

測定を行わない選択肢もある
サンプル数は基本5点以上
原則8時間
測定者はランダムに選ぶ
必要に応じ短時間測定(15分間)を併行して行う

評価

統計的な指標を算出
ばく露限界値と比較
管理区分(6区分)を評価する
 1A・1B・1C (作業環境測定の第1管理区分)
 2A・2B (作業環境測定の第2管理区分)
 3 (作業環境測定の第3管理区分)

措置

管理区分による措置
 1A・1B・1C 継続的維持
 2A 更なるばく露低減措置に努める
 2B、3 対策を行う
参考(作業環境)
第1管理区分 継続的維持
第2管理区分 点検・改善措置の努力義務
第3管理区分 応急措置と健康診断、改善措置、再度の測定、評価

作業環境より厳しい措置となっている

再評価

管理区分が良いほど長い
評価は、6か月~2年
測定は、6か月~3年
都度再評価の導入
 作業場に何らかの変更があった場合

特徴

作業者の呼吸域の気中濃度をばく露限界値と比較して健康リスクが直接評価できる
作業の多様性(近接、移動、間欠作業など)に適用しやすい
簡易測定方法 活用しやすい
作業場の状況に応じて、測定の有無、内容、再評価・測定の頻度を総括管理者が判断し選択できる
リスクに応じた合理的な管理が可能な仕組み
総括管理者には専門的な知識と判断力と職業倫理が必要

インセンティブ から自律的へ

総括管理者は、裁量・判断と創意工夫により管理を合理的に進めることができる
事業主は、作業場の管理レベルの改善により評価・測定の負担が減る
総括管理者を育成・活用しリスクを自主的・主体的に管理する インセンティブになる
教育の仕組み、大学・大学院レベルの専門教育課程、資格認定制度、良好事例や高リスク事例の共有のための学会活動が活発になる
結果として欧米諸国に存在するような 技術専門職群(オキュペイショナルハイジニスト) が社会機能として確立されていく
事業主は、「法令められたことを行う」という受け身の姿勢から、「リスクを自ら管理する」という自律的な姿勢の醸成につながる

用語

  • 個人ばく露測定:作業者の呼吸域でばく露を測定することに関する行為の全体(調査,計画, 測定,評価,対策など)をいう
  • リスクアセスメント:リスクを評価すること
  • リスクマネジメント:(リスクアセスメント結果に基づき)リ スク低減措置を行うこと
  • 作業環境測定:労働安全衛生法第 65 条に基づく作業環境測定をいう
  • 同等ばく露グループ:ほぼ同等のばく露を受けている作業者 のグループ
  • 統括管理者:個人ばく露測定全体を管理する者
  • 測定担当者:統括管理者の下で測定の実務( 測定・分析等)のみを行なう者
  • 管理区分 :ばく露の大きさに関する区分
  • 変更管理 :作業場や作業に変更があった場合、その影響に関して行う
  • SEG:同等ばく露グループ(Similar Exposure Group)
  • AM:算術平均値(Arithmetic Mean)
  • GM:幾何平均値(Geometric Mean)
    相乗平均のこと、比率や割合で変化するものなど、時間的変化を表す比率の平均を求めたいときに
    使用
幾何平均の求め方
幾何平均の求め方
  • GSD:幾何標準偏差(Geometric Standard  Deviation)データのばらつきの程度を表す
幾何標準偏差
幾何標準偏差の求め方
幾何標準偏差の求め方
  • X95:対数正規分布の上側95%タイル値
  • OEL:ばく露限界値(Occupational Exposure Limit)
  • ACGIH:アメリカ産業衛生専門家会議(American Conference of Governmental Industrial Hygienists)
  • TLV:閾限界値(Threshold Limited Value)
  • TWA:時間加重平均値(Time Weighted Average)
  • STEL:短時間ばく露限界値(Short Term Exposure Limit)
  • log:底が10の対数を示す In:底がeの対数を示す

第1章 目的と背景

2006年:危険有害性のある全ての化学物質のリスクアセスメントが努力義務となった。
2017年:SDS交付義務640物質のリスクアセスメントは義務化
将来個人ばく露測定が法制度の中に取り込まれる可能性がある
本ガイドラインの対象範囲全ての化学物質と全ての作業場

国内外の既存の方法

欧米では基本的な手段と位置づけられている。
 ・1977年に米国 National Institute for Occupational Safety and Health(NIOSH 労働安全衛生研究所) 
 ・1991 年には American Industrial Hygiene Association(AIHA 米国産業衛生協会)
 ・1995年には Comité Européen de Normalisation(CEN 欧州規格委員会)
 ・2011 年には British Occupational Hygiene Society(BOHS 英 国 労 働 衛 生 学 会 ) と Nederlandse Vereniging voor Arbeidshygiene(NVvA オランダ労働衛生学会)
日本では作業環境測定が定期的にで定められているため、あまりなされてこなかった最近、いくつか提案されている。
2005 年に,厚生労働省が「屋外作業場等における作 業環境管理に関するガイドライン(平成 17 年 3 月 31 日、基発第 0331017 号)」
2005 年には, 日本産業衛生学会

個人ばく露測定の一般的な特徴

  • 呼吸域の測定結果をばく露限界値と比較することは 最も有効
  • ばく露限界値は、1日8時間、週5日、長い年月にわたりばく露されてもほとんどすべての労働者に健康影響を生じない値(ACGIH-TLV-TWAの定義)であり、疫学的または毒性的な根拠に基づき設定
  • 作業者のリスクを直接、正しく評価できる方法
  • 作業環境測定は、場所、エリアの測定である管理区分が良くても作業者が発散源に近づけば作業者のばく露量は多くなる
  • 作業者の呼吸器で連続的に測定するため 作業の多様性(移動、間欠、複数作業等)に対応しやすい
  • ばく露限界値がある1,000物質程度の測定が可能
    作業環境は管理濃度が設定されている物質は100物質程度
  • 対象作業場も制約がない
    作業環境は指定作業場が定められている
  • 測定や頻度も制約がない
    作業環境はで作業環境測定及び作業環境の詳細を定めている
    作業環境は作業環境測定基準測定方法を定めている
  • 幅広い裁量判断を行ない 、合理的にリスクアセスメント・マネジメントを進めることができる
  • 熟練した専門者(オキュペイショナルハイジニスト・インダストリアルハイジニスト等)が随時判断しながら進める必要がある

第2章 個人ばく露測定の方法

このガイドで使用する個人ばく露測定という言葉は測定単独のみではなく、ばく露の評価と管理を進める総合的なプロセスを示す
作業環境測定は、繰り返すことが必要であるが 、個人ばく露測定は、リスク低減措置を行うことにより、専門家指導のもと測定を省略化することも可能となる
個人ばく露測定を行う者は総括管理者と定義する専門的な知識と判断力が求められる

個人ばく露測定の全体のプロセス

事前調査

  • 評価対象とする化学物質
  • 同等ばく露グループ (SEG)
  • ばく露の有無とその程度
    SEG毎、化学物質毎、8hr/短時間別
  • 測定の要否
  • 必要なリスク低減措置の候補案

作業環境測定士が行うデザインの部分に相当する

事前調査の方法と調査内容
  • 一般調査
    組織、生産工程 、化学物質とSDS
    過去のばく露評価、管理の記録、作業環境測定の結果
    特殊健康診断の記録 、過去の事故、苦情等の記録
  • 作業場の管理者からの聞き取り
    評価対象化学物質 、SEG設定のための作業分担 及び人数
    作業と手順 、取り扱い物質、頻度、時間、使用量等
    過去の事故や苦情 、健康に関すること 、非定常作業
  • 作業場の観察
    発生源の状況(温度、排気装置、取り扱い方法 )
    作業方法 (変化、移動、近接、保護具等)
    作業者へのヒアリング
    必要なリスク低減案
明らかにばく露がない等
  • 有害性の低い水溶液
  • 沸点の高いオイル類
  • 発じんのない固体
  • 極めて少量の物質
  • 閉鎖系(密閉)のみで扱われる物質

これらは定性的な手法で判断してもよい

ばく露の推定
  • 測定しない(フローB)を念頭に調査する
  • 重要なものは過去の評価・測定結果
  • 現在のSEGの状況との相関を吟味
  • 簡易測定法は有効
  • 測定しない場合は、安全マージンを確保すべき
ばく露の区分

作業環境測定の管理区分と同じで統計的意味も同等

個人ばく露測定の管理区分
同等ばく露グループの設定
  • SEGの大きさは一般的には3人~数人程度
    1~2人や数十人もあり得る
  • 幾何標準偏差(GSD)が3.0以上の場合は、ばく露が異なるSEGが一緒になっている可能性があるため、SEGの妥当性を確認する。
同等ばく露グループの設定
測定をしない場合
  • ばく露が高い場合
    管理区分3または2B
    改善対策が容易の場合、対策を行う
    ばく露低減措置を測定より優先する
  • ばく露が低い場合
    1C、1B、1A
管理区分

ばく露が高くも低くもない場合の2Aの測定の優先順は高い

測定時間の設定(8時間測定)
  • ばく露を受ける全ての時間を測定することが原則
  • 把握が難しいので8時間が望ましい
  • 短く出来る場合
    作業時間が限定され、それ以外の作業をばく露がゼロと見なせる
    作業内容は同一で時間変動が小さい測定していない時間は測定した時間と同じ濃度でよい測定の最少時間は2時間
    作業内容は同一で時間変動が分からない測定していない時間は測定した時間と同じ濃度でよい測定の最少時間は2時間、測定時間が短いと信頼性が低い
最少2時間
測定時間の設定(短時間測定)
  • ばく露が大きいと予想される短時間作業が見出された場合
  • 8時間測定の結果でばく露が大きく、原因が短時間の特定の作業が疑われる場合
  • 短時間作業での高いばく露が疑われる場合
  • TLV-STEL(超えてはならない15分間時間加重平均ばく露濃度)等と比較
  • 天井値(TLV-Cまたは最大許容濃度)は15分間程度の測定と比較
  • リアルタイムモニターの最大瞬間値は天井値などとは比較しない
15分間値
被測定者の選定
  • 5人以上を推奨
  • 作業者間変動、日間変動などあるため数値調整を行わない
5人以上
サンプリングの方法と条件の設定
  • ばく露限界値の1/10程度の濃度まで測定できる様にする
  • パッシブ法は短時間測定に向いていない
測定と分析
  • 個人ばく露測定には 、公定法やマニュアル等は存在しない
  • 欧米にはサンプリングおよび分析法のマニュアルがある
簡易測定法とその活用
  • その場で対象物質の気中濃度を簡易的に測定する方法
  • ガス検知管
    作業環境測定に用いられている
    簡易測定法の主流となっている
    但し、測定精度が低い
  • ガス検知器
    リアルタイムモニター
    検知管に比べ 、感度が高く、反応が早く、測定時間が短い
    データロガーにより連続記録できる
検知管
検知器
簡易測定法のセンサーの種類

接触燃焼式(可燃性ガス )
定電位電解式(一酸化炭素、硫化水素等の毒性ガス)
レーザー光散乱式相対濃度計(粉じん)
光イオン化検出器-PID(揮発性有機化合物 –VOC)
半導体検出器

リアルタイムモニター使用時の注意点
  • 正しい校正をする
  • 測定対象物標準ガスを用いて校正する
  • センサーが経時的に劣化して表示が変化する
  • 混合物を分離・定量できない(混合有機溶剤の場合一緒に計ってしまう)
  • 共存物質の影響があり得る
簡易測定法を正規の結果にするためには

リアルタイムモニターを用い、その定量性を確保しかつデータロガーを併用し、結果を連続記録する場合は、個人サンプラーによる測定と同等以上の正確かつ詳細な測定データを得ることができるので、正規の個人ばく露測定の測定として扱うことができる

簡易測定法の可能性
  • 簡易測定法の結果を他の調査情報と合わせれば、正規の測定をするまでもなく、実質的なばく露の評価ができるケースは多い
  • 特にばく露が十分小さい場合、大学や企業の研究室では多種多様な化学物質の不定期かつ間欠的に用いる特徴がある
  • 簡易測定法を機動的に適用することは有効と考えられる
  • 中小の事業場では、簡易測定法よる結果をばく露のスクリーニング評価と解釈することもできる
簡易測定法の可能性

測定

測定中の記録と観察
  • 作業者は、測定中の行動記録を書く
    非日常的な作業
    異常現象(異常なばく露、漏洩、サンプラーの汚染など)
  • 測定中にずっと観察し続ける必要はない
  • 短時間ばく露の測定には観察が進められる
測定値の評価と判定
  • 外れ値の有無および原因を確認
  • 下限値以下の場合、測定濃度の定量下限値を計算に用いる
  • 定量下限値の1/2でも良い
  • 8時間ばく露限界値評価に用いる場合は、8時間の時間加重平均値に換算する
  • 10ppm☓7時間/8=8.75ppm
  • 作業時間が8時間を超える場合は、その時間に対応するばく露限界値を設定する。
統計指標値の算出
  • 時間加重平均値 n個(通常5点以上)
  • 算術平均値(AM)を求める
  • 対数正規分布の上側95%値(X95)
  •  log(X95)=log(GM)+1.645×log(GSD)
  • (GM:幾何平均値)
  • 幾何標準偏差(GSD)
  • n=4以下、測定値を算術平均
  • n=1の場合、測定値をそのまま算術平均値として扱う
  • X95は3倍値とする
短時間測定値の取扱い
  • 異常値を除く
  • 測定時間が15分以下の時は15分間の時間加重平均に換算する
  • 15分以上の場合はそのまま用いる
  • 天井値または最大許容濃度を評価の基準に用いる場合は、データを換算せずそのまま用いる
  • AM、X95、GSDを算出し評価に用いる
ばく露限界値(8時間)
  • 許容濃度またはTLV-TWA値の原則として低い方の値を採用する
  • ばく露限界値が設定されていない化学物質の場合は原則として測定対象とならない
  • 混合有機溶剤など類似の毒性影響を持つ化学物質が複数存在する場合には、それらを合算して換算した濃度を基準値と比較する必要がある(補足資料15参照)
ばく露限界値(短時間)
  • TLV-STEL
    15分間時間加重平均ばく露濃度
  • TLV-Cまたは天井値がある場合は低い方の値を採用する
    いかなる部分においても超えてはならない値
  • 設定がない物質については、8時間曝露限界値の3倍値をSTELとして扱う
結果の評価とばく露の区分
管理区分1~3の定義
  • AM、X95をOELと比較し判定
  • 管理区分1・2・3の大まかな位置関係
  • 1はばく露限界値を超えない
  • 2まばく露限界値を超えることも稀にある
  • 3はばく露限界値を多く範囲で超えている
管理区分1A・1B・1Cの定義
  • 管理区分1の中の内訳
  • 良好度に差をつける
  • 1Aはばく露限界値の1~10%
    平均は3%
  • 1Bはばく露限界値の3~20%
    平均は7~8%
  • 1Cはばく露限界値の10~40%
    平均は20%程度
管理区分2A・2Bの定義
  • 管理区分2の内訳
  • OELの50%を境に2A・B
  • 2Aはばく露限界値の10~100%
    平均は40%程度
  • 2Bはばく露限界値の30~100<%
    平均は80~90%程度
    半分の作業者がOEL超過
  • 2Bではばく露低減対策

リスク低減措置

リスク低減措置
  • 管理区分に応じてリスク低減措置が必要となる
  • 総括管理者は対策の策定を勧告する立場にある
  • 総括管理者は、専門家としての知識、経験を活かし、 合理的な対策案を考案し、現場管理を援する
  • 優先順位は作業環境管理、次いで作業管理となる
  • 保護具は最後の手段となる

対策の優先順位

対策の優先順位
健康管理との関係
  • SEGのばく露が大きい(2B・3)ことが判明した場合は作業者全員による健康状態の確認が勧められる
  • 呼吸用保護具を用いる場合は、装着の適切さ、密着性の確認のため、安全のために健康状態の確認を行うこともある
  • SEG(1A~1C)は、積極的な健康管理を行う意義は小さい
報告
  • 総括管理者から作業場の責任者にあてて文書で行う。
  • 測定の目的、方法、測定結果、結果の評価と判定、対策の勧告対策案の提案などからなる
  • 決まった様式はなく実用重視の簡潔な報告書でよい
  • 被測定者個人にも報告することが推奨される

フォローアップ

  • 安全衛生委員会や労働安全衛生マネジメントシステムなどに組み込んで対策するとよい
  • 変更があった場合は変更管理を行う
    化学物質の変更
    新規物質の導入
    設備の改造
    工程や手順の変更など
再評価・測定の頻度
  • 評価とは
    総括管理者が作業場を観察
    管理者にヒアリング
    SEGのばく露を再推定し、前回の評価測定結果と比較
    初回の作業場の事前調査に類似している
    再測定の要否を決める
  • 測定とは
    必要とされた場合に再度測定をする
  • 管理区分が良いほど、再評価・測定までの間隔が長い
  • 管理レベルを向上させるインセンティブに繋がる
  • 作業環境のように、良好な管理区分が継続した場合でも既定の測定を行え続けるという状況を避けることができる
  • 管理区分3または 2Bの場合は、6か月後に再評価・測定は原則として不適切
  • リスク低減措置を行った場合は、再評価・再測定を行うその後の頻度を定める
  • 測定は、リスク低減措置の効果確認のため
  • 頻度の判断については総括管理者が SEGの今後の暴露リスクを総合的に考察して決定する
    初回 (前回 )の管理区分
    ばく露リスクに係る諸要因
     取り扱い物質の有害性の程度
     管理区分の信頼性
  • ただし、目に見えない経年的な設備の劣化等があり得るため長期間 (5~10年程度)全く測定を行わないことは望ましくない
  • 以上の判断には、統括管理者の経験熟練度が必要である

第3章 まとめ

まとめ
  • 統括管理者
    責務を果たすための専門的な知識と判断力が必要
    充分な教育を要する
    欧米の産業衛生技術専門家に近い位置づけ
    オキュペイショナルハイジニストなど
  • 測定実施者
    個人ばく露測定に関するある程度の教育を受けたる必要
    作業環境測定士等
  • 専門家による裁量・判断の自由度が多くその責任は重い
  • 職業上の倫理に関する充分な理解と遵守が必要
  • 労働者のばく露を抑制する責任は事業主
  • 総括責任者や測定担当者がその責務を適切に果たしている限り主な責任は事業主に帰属する
倫理規定
特徴1
特徴2
特徴3
展望
  • 裁量・判断を活用し、創意工夫し合理的に進めることができる
  • 管理・状態を改善すれば評価測定の負荷が減る
  • 統括管理者及び測定担当者の教育の仕組みが必要
  • 当面は講習会さらには大学、大学院レベルの専門教育課程の必要性が高まる
  • 技術者の資格制度も必要になる
  • 良事例の発表など学会活動が活発になる
  • 産業衛生技術全般のレベルが上がる
  • 個人ばく露測定には、裁量・判断を伴った柔軟な進め方が活用される必要がある
  • 達成すべき成果を実施者に任せるという成果基準に相当する
  • 我が国においても欧米のような専門家を中心とした、作業場へのRA、RMを合理的に進めるための方法は応用可能
  • 個人ばく露測定を活用することは、労働衛生の 「パラダイムシフト」につながる可能性がある
おわりに
  • 個人曝露測定は今後広く普及活用されていく必要がある
  • リスクアセスメント、リスクマネジメントのプロセス
  • 統括管理者という専門性を備えた責任者を設定
  • 裁量、判断の自由度を適切に確保
  • リスクに応じてきめ細かく進めることができるようにした

最後に

結構ボリュームたっぷりのガイドラインでしたね。

改めて読んで僭越ながらよく出来てるなと思いました。

今後の自律的管理には必須のガイドラインかなと思います。

少しでも理解の助けになれば嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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