溶接ヒュームのマンガン

労働環境

はじめに

今回は溶接ヒュームのマンガン濃度測定について確認してきたいと思います。

溶接の作業を行なってる方がこれからどんなことが必要になり、どんな測定を行わなければいけないのかを確認していきたいと思います。

ここではこの測定についての概要と私なりの考えを示して行きます。正確な情報などは厚生労働省のホームページは労働基準監督署にお問い合わせ頂いた方が良いかと考えます。

なるべくポイントを押さえていきたいと思います。ざっくり知りたい方はポイント部分だけを確認していただいてわかるようにしています。

参考:厚生労働省

何が必要?

今年の4月から来年の3月までにアーク溶接作業を行っている事業者は、溶接作業時に出る空気中のマンガン濃度の測定が必要になりました。

溶接のヒューム中には、マンガンが含まれていることが多いそうです。
例えばSDSに記載がなくともマンガンが発生するそうです。

今回は特化則で溶接ヒュームとして指定されています。

1%のマンガン含有があるかは関係ないです。
その中で代表的な金属としてマンガンを測るってことです。
他の金属の有害性が確認されたらそちらも必要になるかもしれませんね。

一方、特化則にはマンガンの指定もありこちらは1%の含有となっております。

この辺がややこしいんですが溶接ヒュームではなくマンガンの指定です。マンガンに関してはこれまでも特化則に含まれていました。

ただしこれまでのマンガンに関しては吸入性のマンガンではなかったのです。

今回は溶接ヒュームというものが新たに特化則に含まれたということです。

溶接っていろんな種類があるんですけれどもティグ、マグ、アークなどそれぞれ必要になってきます。溶射作業は必要ないみたいです。

マンガン濃度の測定

溶接ヒューム中のマンガンを測る

具体的に対象となる金属アーク溶接作業と対象外の作業は以下の通りです。

屋内・屋外は問いません。

対象となる作業

対象となる作業
  • アーク溶接
  • 被覆アーク溶接
  • TIG溶接
  • 炭酸ガスアーク溶接
    MIG、MAG溶接
  • プラズマアーク溶接
  • 自動溶接機
    離れた操作盤の作業などは除く

対象外の作業

対象外の作業
  • 熱源が以下のものである溶接、溶断、ガウジング
    燃焼ガス
    レーザービーム

換気風量の増加その他必要な措置

溶接ヒュームの濃度測定を行った結果マンガンとして0.05mg/m3の場合換気風量の増加その他必要な措置が必要となってきます。
その他必要な措置というのは溶接方法や防災溶接材料の変更による溶接ヒューム量の低減
、集塵装置による集塵、移動式送風機による送風の実施などがあります。
これらを行った場合はもう1回溶接ヒュームの濃度の測定が必要になります報告書は3年ぐらい保存しておくことになっております。
濃度測定の結果に応じて十分に措置を検討し措置をあらかじめ実施してる場合は行う必要がありません。

再度の溶接ヒュームの濃度測定

上記の対策を行った場合、マスクを選定するためにもう1度溶接ヒュームの濃度測定が必要になります。

要求防護係数が低い低い安価なマスクを使用する場合は測定を実施して根拠を示す必要があるかなと考えます。

要求防汚係数を10以下にするのが望ましいかなあとは考えています。

呼吸保護具の選定

呼吸保護法については、溶接ヒュームの測定結果から得られたマンガン濃度の最大値を使用しまて、要求防護係数を算定します。

測定結果の報告書に記載されていますのでそれをもとに防塵マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具を選定するのが良いと思います。

今後どの種類のマスクを使うかは、フィットテストにも関連してきますので慎重に選んだ方が良いと考えます。

フィットテストが必要ないマスクもありますが高価になってきます。

マスクの種類については以下のブログも参考にして下さい。

フィットテストの実施

フィットテストは2023年4月から始まります。
個人ごとにマスクがしっかり装着されているかを確認するものです。
上記で選定した防塵マスク等について個人ごとに要求防護係数を満たしているかどうかを確認するものです。
毎年1回必ず実施する必要があります。
なぜかって体格や顔の形とか変わってマスクがフィットするかどうかを確認するためだそうです。
これについても資格要件が求められていますので、講習に参加するか専門家に依頼するのが無難かと考えます。
大きな事業所でマスクの装着者が多人数いる場合は、講習に参加して機材を購入した方が良いかもしれません。
定性的な方法と定量的な方法があり、定性的な方法は、機材も安く簡易に出来きますが、要求防護係数が高いものには適用できません。
定量的な方法は機材が高いのが難点になります。

掃除等の実施

溶接ヒュームを行う作業所について一日一回以上水洗いや掃除機なので清掃する必要が出てきます。

これは溶接ヒュームの再飛散などによって労働者が暴露を防ぐために必要な措置になってきます。

特定作業主任者の選任

特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を修了した者から作業主任者を選定する必要が出てきます。
作業主任者には作業に従事する労働者が暴露されないように、作業の方法を検討したり作業者を指揮することは必要になってきます。
また全体換気装置及びその他設備の点検も必要になってきます。
上記で選定した保護具の使用状況の監視も含まれてくると思います
溶接作業の頻度にかかわらず、選定する必要があります。

特殊健康診断の実施

一般健康診断とは別に溶接ヒュームを取り扱う作業に常時従事する労働者に対して特殊健康診断が必要になってきます。

これは半年に1回行う必要があり5年間の保存が必要になってきます。

一次検診ではパーキンソン症候群症状の既往歴の検査及びせき等の検査握力の検査です。

二次元子になってくると胸部の医学的検査や尿中のマンガン量の測定が入ってきます。

これとは別にじん肺健康診断も必要ですのでご確認ください。

その他必要な措置

その他必要な措置については特定化学物質作業にはこれまでもあったものが含まれてきます。
安全衛生教育や汚れたぼろ等の処理、不浸透性の床の設置や立ち入り禁止措置、運搬貯蔵時の容器の使用、休憩室の設置、洗浄設備の設置、喫煙または飲食の禁止、有効な保護具の備え付け等が含まれてきます。

何で必要になったの?

マンガンの有害性

何で必要になったかって言うと溶接ヒューム中にはマンガンが含まれていてそれで健康障害を起こす可能性があるからです。

マンガンには神経機能障害があるとのことです。
手足のしびれや刺激に敏感になったりします。
ボタンがかけにくくなったり、物がうまくつかめなかったり、日常生活に不便になります。

溶接ヒュームの有害性

また、溶接ヒューム自体にも肺がんのリスクが上昇していることが報告されているみたいです。

ヒュームを大量に吸い込むと中毒症状を起こします。

また長期間体内に溜まるとじん肺になる危険性もあります。

また溶接の煙中のガスは炭酸ガスや水蒸気が含まれています。これらの中には一酸化炭素一酸化窒素となって体に害を及ぼすこともあります。

また亜鉛メッキ鋼板や鉛を含む塗料で塗装した材料、銅や真鍮の溶接では重金属が蒸発してこれを吸い込むと中毒を起こすこともあります。

母材など種類によっても有害性は変わってきます。

有害性があるからです。

いつまでに実施する必要があるの?

2021年4月から2022年3月末までに実施する必要があります。
この測定結果によって装着するマスクの種類が変わってきます。

作業環境中の濃度を減らすために換気の増大などのも有効です。

2022年3月末まで

誰がどうやって測る?

何人を対象とする?

同じような溶接作業をする人を一つのグループとして測定単位を作ります。

これを同等作業グループと言います。

同じ防塵マスクを使用するグループとして捉えても良いかもしれません。

この内、2人以上の溶接作業者に採取機材をつけ、採取したものを分析します。

同じような作業をする人全員につけても構いません。

採取器具はどこにつけるの?

作業する人に個人用のサンプラーを装着して溶接の準備から片付けまで、一連の作業を採取します。

この時の採取機材の装着位置は呼吸域付近につけます。

溶接作業なので面帯がある場合には、その内側につけるほうが濃度は低くなります。実際の作業状況に応じたマスクを選定しましょう。

誰に測定を頼む?

測定者の定めは無いそうですが、作業環境測定機関等の専門家に頼むのが無難です。

今回は吸入性のマンガンを測ります。

吸入性というのは4マイクロメートル以下のものです。

そのために必要なサンプラーや吸引流量が定められております。

また採取したヒュームの中の濃度を測るためにも高価な分析機材が必要になってきます。

作業環境測定機関などの専門家に頼むのが無難であり、そうでないと正確な値が得られないと考えます。

作業環境測定士に頼もう

フィットテストって何?

2023年からはフィットテストが必要になります。フィットテストって何かって言うとマスクがしっかりされてるかどうかの確認です。

フィットテストが必要ないマスクも存在します。

マスク装着具合の確認が必要になる

最後に

たまにしかやらない溶接作業でも測定が必要になるのって聞かれることがあります。

今回は作業環境測定のように継続的にやらなきゃいけない測定ではないので一度測定して安全を確認しておくのが無難かと考えます。

リスクが低いって分かったら作業者の人も安心です。

リスクを知るために測ろう

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